浅井直樹 戦争映画を観る女

作詞:浅井直樹
作曲:浅井直樹

フランスで死んでから
ベルギーでもういちど死んだのに
今日もおまえのハンガーには
宇宙服が かけられている

魔術も使わないで
空を飛んだりなんかするものだから
無人図書館で活字を万引きする
女子高生の二の腕にも刃物あり

逆回転にすると聴こえてくる
ポルカに合わせて踊る負傷兵

夜な夜なベッドでひしめきあう
人体模型たちがおまえの噂を広めるとき
切り取り線の向こう側にそびえる
死刑台で威張っているのはチンパンジーだ

銀河に広がる運動場では
対角線を測られたカメの甲羅が
いちばんなのであるという
子どもたちの歌声を耳にして
透け透けであることに気づいた
日暮里のおじいちゃん乾布摩擦

オランダで肉になったあと
ドイツで灰になったというのに
今から家系図に一本足して
どんなファントムをおっ始める
というのでございましょう

死が自動的に立ち上がり
おまえは脳の寸法を広げる
霊的に恋文をしたためる
死が自動的に立ち上がり
建立されたばかりのおまえの裸体に
色盲検査表が映写され
それを指差しながら
ママあれ乗りたい、とおねだりする
子どもの瞬間を突いて
死が正確に時刻を算出した

霞たちこめる湖も
半分透き通ったこの小舟も
さしずめゼロの糸としましょう
花は、揺れるかしら